改定率どおりに増えたのに、楽にならなかったら
来年から年金を受け取るAさん。物価に合わせて年金が改定されると聞き、安心していました。ところが実際に家計を見直すと、増えた実感がわきません。何が起きていたのか、たどってみます。
何が起きたか
Aさんは来年、老齢年金を受け取り始めます。年金額は物価の動きに合わせて毎年見直されると聞き、それなら安心だと考えていました。物価が上がれば年金も上がる。そう理解していたのです。
ところが2026年8月の物価データを見ると、話はそう単純ではありませんでした。総合の指数は+1.9%の上昇です。一方で、日々の買い物で感じる食料は+3.1%も上がっています。光熱・水道は-0.3%と、むしろ下がっていました。同じ「物価」でも、品目によって動きがまったく違ったのです。
このままだとどうなるか
年金の改定は、物価全体を表す総合の指数をもとに決まります。Aさんの年金も、来年は総合の伸びに合わせて増える見込みです。ところが家計の中では、食料にかけるお金の比重が大きいままです。総合が+1.9%増えても、食料は+3.1%も上がっています。差は1.2ポイントです。この差の分だけ、財布から出ていくお金の増え方が、年金の増え方を上回ります。
しかもこれは一時的な動きではありません。ふり返ると、食料の伸び率が総合を上回った月は12か月にのぼります。ほとんど毎月のように、食料だけが先に値上がりしていた計算になります。年金は年に一度、まとめて改定されます。その間も、食料や光熱費は月ごとに動き続けます。改定を待つ間に、支出の実感は少しずつ変わっていくのです。
どうすればよかったか
Aさんに必要だったのは、改定率のニュースを鵜呑みにしないことでした。総合の指数と、自分の家計の中身を分けて考える視点です。食料や光熱費に使うお金の割合は、家庭によって違います。外食が多い家庭、自炊中心の家庭では、同じ物価の動きでも家計への響き方が変わります。
できることは、家計の内訳を定期的に確認することです。食料や光熱費が支出の何割を占めるか、書き出してみます。総合の指数だけでなく、食料や光熱費それぞれの動きにも目を向けます。その上で、年金の増え方と実際の支出の増え方を見比べます。差が続くようなら、貯蓄の取り崩し方や支出の見直しを、早めに考えられます。
よくある質問
年金の改定率は、何をもとに決まるのですか?
食料の値上がりだけ大きく感じるのはなぜですか?
年金の増え方と支出の増え方がずれたら、どうすればいいですか?
この記事が参照した一次情報
- 総務省統計局 消費者物価指数(2026-09-23 取得)
- e-Stat 政府統計の総合窓口 API(2026-09-23 取得)
数値は上記の公表資料から機械的に取得しています。 制度の適用可否は必ず公式サイトまたは窓口でご確認ください。