遺言書の3つの方式、費用と検認の要否を条文で整理
自筆証書・公正証書・秘密証書には、誰が書くか、費用、保管方法、家庭裁判所の検認が要るかどうかに違いがある。民法の関連条文5件を、2026-06-24時点の内容にもとづき、2026年9月23日に確認した。
遺言書の3つの方式を、条文から確認する
民法第九百六十七条は、普通の方式による遺言を自筆証書、公正証書、秘密証書の3種類に定めている。作成者や費用、保管の方法は方式ごとに異なり、選ぶ前に条文で確認しておく必要がある。下の表は、その違いを一覧にしたものだ。費用を抑えたいか、内容を残しておきたいか、方式によって向き不向きが分かれる。
自筆証書遺言は、民法第九百六十八条にもとづき、本人が全文と日付、氏名を手書きし、押印して作成する方式だ。費用はかからないが、日付の記載漏れや押印の欠落といった形式の不備で無効になりやすい。公正証書遺言は、民法第九百六十九条にもとづき、証人の立会いのもと、公証人が本人の口述をもとに作成する。原本は公証役場に保管されるため、紛失や書き換えの心配が小さく、家庭裁判所の検認も要らない。
秘密証書遺言と、開封の前に確認すること
自筆証書遺言や公正証書遺言に比べ、秘密証書遺言を選ぶ場面は少ないが、条文上は独立した方式として存在している。秘密証書遺言は、民法第九百七十条にもとづき、本人が署名押印した証書に封をし、公証人と証人の前で自分の遺言である旨を述べて作成する。内容は誰にも明かさないまま、存在だけを証明できる方式だ。費用は公正証書遺言よりおさえられるが、内容の不備までは公証人が確認しないため、書式に誤りが残ることがある。
民法第千四条は、遺言書を保管する者や見つけた相続人に、家庭裁判所での検認を義務づけている。封のある遺言書は家庭裁判所で相続人の立会いのもとに開封する必要があり、自分で封を切ってはいけない。自筆証書遺言と秘密証書遺言は検認の対象になるが、公正証書遺言は対象から外れている。2026年9月23日時点の条文にもとづき、方式ごとの違いを確認したうえで、保管の仕方も決めておくと手順が滞らない。
根拠となる条文
根拠になる条文を、法令データからそのまま載せる。解釈を加えていないので、原文のまま確認できる。
民法第九百六十七条(普通の方式による遺言の種類)
遺言には3つの方式がある。
遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。
e-Gov法令検索で条文全体を見る /この法令の最終更新 2026-06-24
民法第九百六十八条(自筆証書遺言)
自筆証書遺言。全文を手書きする必要がある。
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
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民法第九百六十九条(公正証書遺言)
公正証書遺言。公証人が作成する。
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。証人二人以上の立会いがあること。遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
前項の公正証書は、公証人法(明治四十一年法律第五十三号)の定めるところにより作成するものとする。
第一項第一号の証人については、公証人法第三十条に規定する証人とみなして、同法の規定(同法第三十五条第三項の規定を除く。)を適用する。
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民法第九百七十条(秘密証書遺言)
秘密証書遺言。内容を伏せたまま存在だけ証明する。
秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
第九百六十八条第三項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。
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民法第千四条(遺言書の検認)
検認。封のある遺言書を勝手に開けてはいけない。
遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
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よくある質問
自筆証書遺言と秘密証書遺言は、どちらも家庭裁判所の検認が必要ですか。
封をした遺言書を見つけたら、自分で開けてもよいですか。
費用をかけずに遺言書を作りたい場合、どの方式が向いていますか。
この記事が参照した一次情報
- e-Gov法令検索(デジタル庁)(2026-09-23 取得)
- e-Gov法令API 仕様(2026-09-23 取得)
数値は上記の公表資料から機械的に取得しています。 制度の適用可否は必ず公式サイトまたは窓口でご確認ください。